大灰廠其の3
〜ラストワルツ(6,26)〜
大灰廠の蒸気が廃止になるという情報は東北遠征に行く準備中に地元の新聞で見た。これによると6月15日以降は見れなくなる。廃止の理由は近くの寺が世界遺産に申請するために環境整備をせねばならず、蒸気機関車の運休が決定された。運休といっても実質は廃止だが。しかし廃止が決定してからじょじょに運行が減り、
運休する日も出てきた。見に行きたかったんだが、用事が色々あって結局見にいけなかった。
帰国2日前、Dazhaoさんとその友人の山根さんが蒸気が工場内だけど動いているから見に行かない?と誘ってくれたのでお言葉に甘えて付いていく。朝9時に973路、3支始発の南礼士駅に集合。ちょっと飲み物を買いに行っている間バスは行ってしまった。ところがそれから1時間立ってもバスは来ない。普通なら20分も待てば来るはずなのだが一向にやってこない。何か事故かは分からないが、大きなロスタイムの原因@となった。
やっとバスが来た。しかし油断は出来ない。途中の辛庄付近で道路工事が行なわれていてバスは迂回するから時間がかかる。しかも盧溝橋で一個の水溜りのために大渋滞が発生し、抜けるのに30分以上かかり、大灰廠に到着したのは11時20分頃。先ほどの始発バスが来るのが遅かったのも盧溝橋での渋滞が絡んでる。
バスが原因で2時間以上も遅れたことは意外だったが、時間が無いので先を急ぐ事にした。
蒸気機関車が走らなくなったため、沿線の住民は養蜂業を始めた。煙は蜂にとって苦手だが、機関車が走らなくなれば蜂を飼っても問題は無い。用法業を営む民家が多いので、それだけで蒸気は最近は走っていないと確実に証明を示してくれている。
踏切まで行かず、近くの土手から侵入を試みるが、裏道に蜂の巣の箱が幾つもあっておっかない。幸い今日の天気は雨だから蜂はそんなに飛んでいないので刺されることはなかった。線路に出て線路伝いに工場に行くと、線路脇には山のように積んである石灰岩が。工場の奥にはC2蒸気機関車が停まっていたが火は入っておらず、ここ数日間は運転をされていない模様だ。
従来から歪んでいる線路は錆び始めており、切り替えポイントは壊されていた。トロッコを入れ、工場まで石灰岩を運ぶ専用の工場はもう稼動はしていない。トロッコも脱線している状態で見るのも無残な姿だった。機関車車庫には犬がいて中の様子を見ることが出来なかった。
今度は採掘現場のほうに足を伸ばす。途中あった踏み切りは壊されて、名物の「踏み切りおじさん」ももういない。地面にはヨレた線路と積み重なった煤だけが残っている。あとは雨で出来た水溜りだけ。採掘現場にはもうトロッコは1台も置かれていない。
採掘現場の穴に入ってみる。ひんやりとした空気が肌にまとわりつく。従来は採掘した石灰岩を岩を砕いてそこからベルトコンベアで運びトロッコが停まっている穴の上に落としてトロッコに入れる。2月に行ったときはまだまだ現役だったのに、あまりの変わり果てた姿にショックを隠せなかった。しかし現実は目の前にあるものが真実なのでどうすることも出来なかった。あとは残されたC2型が今度どのような場所で活躍するかだけが気がかりだった。
帰りは渋滞を避けるため385路のバスで戻ったが、今度も道路工事中のところを通過するので揺れがひどく、水溜りの中もバスは入っていった。リアル:ユニバーサルスタジオだった。その後タクシーに乗り換え、北京西に撮影を敢行した。
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