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ボーゲン・ザ・ギャンブラー(T61次編)



10月1日にT61次(北京西ー昆明、3000キロ、約40時間)に乗りました。

10月1日狂ったように込んでいる天安門前  「全滅ゥ?9月30日の東北、江南方面の列車切符が全滅ゥ!?」。9月27日はこの驚きと怒号で 始まった。10月1日は国慶節。中国国民にとっては建国記念日&長期休暇であり、大学もそれにあわせて 10月1日から7日まで休みになったので、初めは授業終了後らくらく寝台で、大連、丹東、瀋陽旅行を計画していてホテルまで予約しており、 あとは列車切符というところで計画が頓挫になった。友達に切符手配を頼んでいたが、「混む時期だから、ないですね」のそっけない回答ぶりに おもわず激怒してしまい、「10月1日発を全部調べて!!」と言ったが、答えは「10月1日北京(全部)駅から出る列車切符 (天津行きを除く)となり、しばらく怒りで頭が働らなかった。「知り合いの切符売りは夜中まで画面を観ていたけれど無かった」 と友達は言っていたが、「北京駅は24時間営業なんだから発売4日前の夜中になぜ見ようとしないんだ!そんなの怠慢だよ!!」 と言いかけたが、これ以上仲を悪くするのはまずいので、あきらめて、すぐ北京の流れ星さんに連絡して、10月1日の手配を頼んだ。



  北京西を発車するT61次と同じ車両
 翌日(28日)授業が終わる直前、流れ星さんからメールが入り、「(部下が)朝早くから並びましたが、やっぱり無いです」との返事。 その後、夜(9時)一緒に北京駅で切符を買いに行きましょうということになった。夜9時過ぎになっても北京駅の切符売り場は混んでいて、 やる気をなくしていたが、「今朝はもっと混んでいましたよ」とのこと。うだうだ言っても仕方ないので、切符売り場へ。
切符売り場にある売れ行きを示す電光掲示板には9月30日と10月1日の切符はきれいに没(有)と表示されていた。かろうじて 残っていた10月1日のZ5次上海行きも買う直前売り切れになった。途中公安が2人のダフ屋の首根っこを捕まえて切符売り場を去っていく 姿が見えた。あきらめて、2日の切符を買おうかと相談していたら、「あれっ?1日に昆明行きの軟臥がある!」全滅かと思われた10月1日の北京西発T61次昆明行き軟臥が「有」のマークが 光っていた。これにしましょう!!と流れ星さんに言ってとっさの判断で買った。切符は昆明まで「軟臥上段852元」。切符売り場のおじちゃんから「最後の1枚だよ」 と言われて、この切符を大切にパスポートの中にしまった。贅沢は言っていられない。すくなくとも10月1日には北京を脱出することが決まった。


10月1日、
 わざわざ狂ったような人ごみの天安門周辺の見学を行った後、大学に戻り早速準備へ。15時40分には大学を出るが、直で行く47路バスが渋滞に捕まり(しかも到着直前車庫に入ると乗客全員下ろされた)。 結局駅に着いたのは発車1時間前の17時40分。入り口から入り、エスカレーターで上に上がり、途中直った城際特快の自動券売機をチェックしたあと、軟席候車室へ。 発車35分前に検札の案内が表示され、いざホームへ。この数分間の胸の高鳴りがたまらない。ホームに下りたあとは、軟臥に荷物を置き、先頭車両へ行き、電気機関車を撮影。T61次牽引機はSS8型で特快専用機だ。 撮影後、何が編成されているのかチェック。

電気機関車 荷物車 2〜10両硬臥車(+1両硬臥車増結)軟臥車 食堂車 13〜16両硬座車 電源車 郵便車の計19両編成。車両は25K型、長春車両製。

また軟臥車両の房間には電源はなく、通路3箇所に電源があるものの、穴が3方向タイプなので使えない(車掌室には使える穴があった)。列車所属は昆明客運。

 18:40 秋の夜空に向かって列車は音も無くゆっくりと走り始めた。隣が食堂車だが、従業員一同、形だけどホームに対して敬礼ポーズ。北京西駅発の京広線の列車はずっと西に向かって行き、途中からうねるようなカーブで石景山のトンネルをくぐり 発車20分後にようやく本線と合流する。また北京西発深セン行きと内モンゴル行きの列車は、東側から発車する。内モンゴル行きの列車は時計回り後、豊台駅を通過し、永定河付近で京広線と交差する。
夏が終わり、秋も深まりつつあるこの時期どうしても陽が落ちるのが早いので、すぐ景色が見えなくなってしまう。真っ暗になる直前、放送が入り食堂車の準備が出来ましたとのこと。でも混んでいるので、1時間後を 目安に行くことにする。軟臥客は思った程多くなく、途中駅からの乗車か、キャンセルが出たかいずれにしろ発車1時間後、寝台に移動する乗客がいたので実際はガラガラだったのだと思う。

食堂車はやたらと卵を使ったメニューが多かった。西紅柿炒蛋、苦瓜炒蛋、黄瓜炒蛋、長葱炒蛋、・・・。あとは23元くらいのおかずとご飯が載っていた。食事を注文すると お茶のサービスがあった。ビールは大理ビール1瓶5元。この日は注文しなかった。前の席に劉さんが来て、石家庄までずっと話し込んでいた。彼は武漢の実家にもどるらしい。切符の手配が容易ではなく、 偶然手にしたのが増結タイプの硬臥車だった。
食後は、疲れもあり、早々と就寝に着いたが、下の人間のいびきがうるさくてなかなか眠れなかった。

無料サービスのおつまみ。 長沙駅での駅弁。

10月2日、
 朝7時まで寝たり起きたりの繰り返し。漢口停車後列車は大きく弧の字カーブを描きながら漢江、長江をわたり、湖北省の省都、武昌に到着。ここで硬臥客の大半が降りた。武昌発車後朝食を摂る。 メニューは面かビーフン。各10元。豆とザー菜とホットミルクのサービスが付いた。この列車は従業員の愛想はそっけないが、サービスと料金はZ列車よりもずっと良い。やはり地方管轄の列車だからだろうか? 10時過ぎに長沙に到着すると、自分を除き同室の乗客は降りてしまい、軟臥乗客は5,6人だけとなってしまった。軟臥の部屋は自分ひとりだけ。独占で使える。長沙駅で機関車交換。SS3型になった。機関車交換後 はまだ時間があるのに車両の乗降口を従業員が勝手に上げてしまい、メニューの豊富な長沙の駅弁を買えなかった。
長沙を出た後、この列車長が話しかけてきて車掌室に入り、駅停車までずっと雑談。彼の友達に日本人がいるから自分にも話をしたかったらしい。株州には停車せず、貨物線コースを通り、西の懐化へと向かう。途中 の駅で釜飯弁当(ぶっ掛け)を5元で買う。少々高いが、味はまずまず。沿線風景は段々畑と川が広がるのどかなものだった。懐化には洛陽、襄樊、張家界からの列車もおり、この線路はさらに南の湛江まで続き、 さらに船で海南島まで行けるという。列車は進路方向を変えず、ずっと西へと進む。懐化を過ぎると2回目の夕方を迎えた。  結局夜になっても、部屋換え客は現れず、自分ひとりで使用していた(当然下で寝た)。貴陽手前になると列車の速度はだらだら。単線なのか貨物が多いのか真っ暗で分からないが、とにかくルーズ。それでも定刻より5分 早く貴陽(貴州省、23時過ぎ)に到着したのは立派。中国鉄路は山岳単線地域には時間に余裕を持たせているが、ダイヤは着実に早くなっている。貴陽発車後床に就く。

5元と安いので買ってしまいました。 急カーブで長沙に入るT61次。 貴州に入ります。。 昆明駅で後から来た桂林ー昆明の快速。

10月3日、
早朝、孔明と孟獲が戦った曲靖を過ぎると複線になったのか、列車のスピードが上がって行っている。景色は山だらけ、所々白いものが見えるがゴミかと思ったら岩のむき出しものだった。ということは、石林に関連する地層はここにもあるのだろう。朝食を摂り、部屋でおとなしく終点まで待つ。 電源が使えないので携帯(電池がもう無い)が使えない。ずっと電源を切りっぱなしなのでいつメールが来るか分からない。まっ、たいしたことは無いけれど。昆明近くになると、到着時間が早すぎたのか15分ほど臨時停車。その横を 狭軌線路の昆河線の列車が通り過ぎる。また軍事貨物の停車駅もあった。時刻表の予定より早く、10時20分に昆明に到着した。昆明鉄路局は9月18日のダイヤ改正で、貴陽と南寧からの列車の時間が少し早くなっていた。

T61次 軟臥服務員 ちなみに彼女とは10日後武昌駅で遭遇しました(笑)。 さて、暇だったのでT61次の軟臥女性服務員の働きっぷりを見てみた。
停車駅が近くなれば、寝台票と切符の交換、トイレの施錠、駅発車後はデッキに立ってホームを去るまで敬礼。朝、自分の所属する車両のカーテン開け。朝食はだいたい弁当。朝食後は窓の内側を掃除。その後は、トイレ、洗面台の掃除、各部屋の掃除。お昼、することが無ければ他の従業員とだべっている。 夜は駅が近くなれば朝と同じ作業。もしすることが無ければ他の従業員とだべっている。さすがに乗客とは違い眠れても仮眠をとるのがやっと。ようするに少ない人数で仕事場を廻してきた人間から見れば、中国鉄路特快服務員は停車駅が無ければ「暇ですね」と言う状況だった。こんなの2両に1人坦当でいい。

昆明の天気は曇りだった。40時間の長距離は上海ーウルムチ以来の乗車だった。列車内の物価が安いのはいいことだが、これが昆明の経済状況を示していると思われる。旅行客にとって安いことは歓迎だが、地元民からみれば まだまだ高い価格であろう。T61/62次は北京と昆明を結ぶ昆明市民の足となっている、なくてはならないものだ。自分の要望としては、高包は連結しなくて良いから四方機車車両の25K車両(設備がこちらのほうがいい)を使ってもらいたい。

これから5日の成都行きのチケットを買いに行くが何とかなるでしょう。

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