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深センー広州 N652次乗車記

ゆとりが欲しい貴方にお勧めの列車

N652次混合快速


 広州ー深セン間にある広深鉄路の路線には走る列車によって優遇のランクが違ってくる。つまり速い列車ほど、この区間をいち早く走破でき、遅い列車は途中駅で速い列車に抜かれる。

広深鉄路のヒエラルキー

1、広州東ー香港区間の高速、準高速列車
2、北京、上海ー香港区間の特快列車
3、広州ー深セン間区間の準高速
4、広州ー深セン間を走る特快
5、広州ー深セン間を走る快速
6、広州ー深セン間を走る鈍行、貨物他

2と3は人によっては意見も出てくるであろうが、広州東ー香港間を途中停車なしで運行していると言う見方で順位付けた。

 時刻表を見たことがある人は1〜3までは知っている。現地に住んでいる日本人でも4と5なら知っている(はず)。
しかし6について、貨物以外ではほとんどの人が知らないんじゃないだろうか?一応1日1往復だが「ある」ことにはなっているが恐らく利用する人はほとんどいないだろう。
 何せ1時間半もあればたどり着く広州ー深セン片道を4時間もかけてのんびり走る列車なんぞ「興味があっても乗りたがる人はいない」、というのが多くの見方だ。

 列車の名前はN651/2次。朝5時半に広州駅を発車して10時過ぎに到着。11時過ぎに発車して午後3時過ぎに広州に到着。4時間もかけて147キロの距離を走るので平均時速約34`、自動車より遅い。

N651/2次のタイムテーブルは以下の通りである。

N651次
広州5:38発
広州東5:48着、6:31発
石龍7:18着、7:35発
東莞8:07着、8:21発
樟木頭8:33着、8:37発
塘頭厦8:50着、9:07発
平湖9:19着、9:23発
深セン10:15着


N652次
深セン発11:21
平湖11:54着、12:02発
塘頭厦 −通過−
樟木頭12:25着、12:29発
東莞12:41着、12:50発
石龍13:10着、13:29発
広州東14:52着、15:07発
広州15:18着


 しかし広州東駅付近で撮影をしていたらびっくりした。回送中のN652次が通過したのだが、10両編成中3両がSYZ25B、電源車、荷物車3両、郵便車3両と『混合列車ですか?』と途端に魅力的に見えてしまった。そのため『俺が乗らなきゃ誰が乗る?』ということで深センに行った帰りに、この列車に乗って広州駅まで戻ってきた。

 この列車の乗車の際に心配したのが切符。深セン駅も工事を行なっており、切符売り場も自動券売機は使えず、しかも窓口の数が減っていおり、さらに目的地別に窓口が分かれていたため、今朝と同じく切符の種類でもめるんじゃないか?と起こるべきトラブルを想定して嫌になったがすんなり買えた。「2階建て硬座下層45元」。ほんと2階建て座席で上層が当たったためしなんか無い。この2階建て座席割り当て運は無いようだ。

 しかし147キロを4時間もかけて走る列車のくせに45元も取るのかよ?(従来の計算だと24元)結構な割高です。この区間は特別だからと言い訳されるのは目に見えているが。いちおう広深鉄路管轄の車両だからといってもここまで遅いんだからせめて普快クラスにしてくんない?と思ったがまあいい。次に乗る機会なんて早々あるわけ無いから。

使われていない自動券売機 藍箭にブチ抜かれるN652次

 指定された仮設候車室に向かう。ここも広州東駅と同じようにまだ使われていない自動改札機が設置されている。やはICカードはもう少しと中国鉄道の明るい文明進歩に望みがかけられる。候車室といっても編成数の少ない(だいたい7〜8編成)城際特快専用室なので席も多くなく、立っている乗客がほとんどだが、本数が多いので長時間の立ちんぼは無い。そのまま駅に行き切符を買って荷物検査を行なって、すぐ乗車できるというのがこの広深鉄路特快の魅力なのである。

 N652次の案内もすぐに来た。今回の編成はSRZ25B3両(橙)、25B郵便車3両(赤)、25K荷物車2両(青)、25G電源車1両(赤)。郵便車がGカラーに塗られていなければカラフルな編成だったのにと妄想はさておき、乗車する車両に行く。 ホームでは運ぶ郵便物や荷物の量が編成される車両分だけ高く積まれており場所もそれなりにとっているので歩きづらい事この上ない。
 乗車する車両だが切符には7号車と書かれているのにしかし乗務員は「6号車に乗れ」と言ってくる。それほど多くない乗客だから、同じ車両に閉じ込めて、自分達の業務を出来るだけ減らそうという魂胆見え見え。いちおうきれいな制服は着ているが、実態はオバサン集団。顔を岩石にバターを塗ったような異星人なのでちっとも嬉しくない。知性も限りなく低そう。
 似合わない制服を着て決められた以下の仕事しか出来ないんだからこれぞ「独活の大木」なんだなと笑ってしまった。案の定、勤務も根性も捻じ曲がっていた、いつもの「働かない国鉄職員」ってやつでした。

2階建て硬座本線上を通過して貨物駅の方に入る

 2階建て硬座は180名も収容できる車両だが、何せ造りが古いので公園のベンチに綿を詰めた感じな硬座デザインが素晴らしい。もともと観光列車として活躍していたため、辛うじて空調が搭載されているのが救いと言えば救い。しかし真夏に乗車率150%になったら地獄になることは間違いない。ガラガラだったので上層に行き、ボックス席を途中駅で乗客が乗ってくるまで占拠していた。足を横に伸ばせるのがガラガラ硬座の利点。準高速軟座ならこうもいくまい。建前上は番号は決められているが、放置第一がこの列車の客扱いなのだろう。

 従来快速のくせに慢車扱いなので発車も遅い、牽引機もDF4Bと遅い列車には量産型ディーゼルが付く。高速列車優先なので高速列車が発車した後に2分遅れてようやく発車。北方面に向かうが一番右の線路に追いやられる。
 広州東ー深セン間の基本線路は3本あり、2本は高速や特快が通過する本線。もう一本は快速、貨物、準退避線扱いになる。所々待避線が複線になり複々線になるときもある。のんびり別線を走っているからすぐ後続発車の藍箭に抜かれる。あっちは100`以上の速度、こっちの速度はどう見ても20`。藍箭はあっという間に視界から消えていった。
 それと最低一本は専用線があるとはいってもたまに左から右、右から左と途中駅に着く前後に本線の上をそのまま跨ぐので、高速優先ダイヤだから高速が通過する前はポイントが動かず進路変更できず通過するまで線路上にいるしかない。時には上下3本抜かれて発車と言う事もある。

深セン北貨物操作場で朽ちているDF1を発見、さっさと解体すればいいのに。

 しばらく複々線が続く。布吉駅で漢口から深センに向かうK7次と交換。この列車は直達列車ご用達のSS9G電気機関車が牽引しているため、電源車両は着いていなく、新型の25G編成だった。広州ー深セン間には時刻表に載っていない駅名が幾つもあるが、ほとんどは運用されていないか、貨物線の駅である。したがって布吉駅で10分ほど停車しても乗客の乗り降り業務は行なわれていない。この間にも次々と高速列車に抜かれていく。

貨物専用の石龍ホームに停車。高架駅は城際特快用まだ工事している広州東駅

 本線から離れ深センで一番大きい貨物駅を目にする。木古駅と書かれていた。高速や特快などの天上界クラスばかりに乗っているとこういった縁の下の力持ちや下界の様子などがよく見えてこない。遅い列車に乗っていると下々の世界がより見えてくる。

11:52平湖駅に到着。ここで準高速と藍箭に抜かれる。深セン方面行きの線路は普快と準高速が競争している。
12:26樟木頭に到着。
12:50東莞に到着。
13:00石龍に到着、30分ほど動かず。その間にN702次深セン西ー懐化の非空調列車に抜かされる。非空調より格下かよ。まあ快速とはいっても荷物車両の方が多いんだから荷物の積み下ろしが多ければ停車に30分かかっても仕方が無い。

 さらに発車して、河を越えたらまた緊急信号とかで10分ほど停車。そのご幾つかの地点で緊急停止は行なわれていた。この区間は単線に加え貨物との入れ替えもあるので仕方が無い、何しろ混合快速なのだから。全く動かないこの列車を尻目に隣の本線では高速列車が次々と追い抜いていっている。
 列車が停車するたびに異星人どもはうるさい、動物園にいる感じだ。で走行中はものすごく静か。なぜ?と思いたまたまトイレに行く途中、施錠されている扉の向こうに隣の車両が見えたが、なんと異星人たちは足を投げ出して寝ている。さすが人間とは違う!

 テメーらはいつから車両を自分達のものにしているんだ?職務(公務)と私事とが全く区別できない現在の中国の腐敗をそのまま実行している職務員たちの姿を見てしまった。まっほとんどの列車の従業員の勤務態度が似たようなレベルなんだけど。寝る場所が無いから通路の椅子で布団にくるまって仮眠を取っているZ列車の美人従業員たちのつめの垢を煎じて飲ませてやりたいものだ。

そのままダラダラとちょっとだけ速度上げる落とすを繰り返し、14:50に広州東駅に到着。乗客の大半は降りた。

広州東ー広州間もダラダラ運転は続く。3時半過ぎやっと広州駅に到着。列車から降りてこの日初めて「解放された」と実感した。

広州駅に到着したN652次N652次サボ

結論から言ってN651/2次は全ての列車、競合に負けている。

1、料金は同じ区間のバスに劣り(60元だけど2時間を切る速度と比べてしまうと:以下略)
2、速さは普快に負け(60`以上出ているのを見たことが無い)
3、硬座は普通の新空調硬座(25G初期型)に劣り
4、従業員の質の悪さは北京鉄路局(列車にもよるが)に劣る

と全くお勧めできない。時間がたっぷりあってお金を節約したい人や、降りる駅がこの列車しかない場合を除いて何のメリットもない。せいぜい撮影の際に、面白い列車が来たというあたりで止めておくほうがいいかもしれない。


撮り鉄:T16次北京西行き撮り鉄:XL25Tと緑亀の珍しい組み合わせ

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