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K100次乗車記

乗車した列車番号 乗車区間 切符の種類 切符の金額 乗車した日付 乗車した時間 乗車した距離
K100次
九龍ー上海
高包
1091港元
7月22日〜23日
22.5時間
1991キロ
香港に入るK99次   香港からの長距離列車は北京行きと上海行きが1日おきに発車しています。スケジュールだと今年の7月は 香港発北京行きは奇数日、香港発上海行きは偶数日です。切符は60日前から販売されますが、意外に香港 から中国方面に旅行をされる方が多く、切符の入手が難しいと思われますので早めに購入しておくことをお勧めします。

 自分がホンハム駅(以下九龍)に着いたのは、炎天下の13時過ぎ。線路を眺めると高速道路の下から上海から来た K99次が入線している頃でした。九龍駅はさすが香港と言いたくなるくらいきれいですし何より駅を汚す人々がいません。 ただ物価は中国と比べるとビンボー旅行をされている方にはきつい価格設定です。

 自分が乗車する列車はK99次の折り返しのK100次で、97年香港返還前に新しくできた列車です。97年の5月19日から北京・上海ー香港間の列車が営業運転を始めました。 当時の状況を日本の新聞の記事を見ると、
「列車は最新型で、上海ー香港を約29時間で結ぶ。(中略)特等車両にはライト付きのベット、更衣室、シャワー室が完備している。 乗客は中華料理以外にも西洋料理も楽しめる」
(97年5月14日サンケイ新聞)。


ホンハム駅構内  当時は大陸からの(中国市民の)香港自由旅行が厳しく制限されていた時期で、香港人ビジネスマンや香港市民旅行、また欧米市民の大陸直通香港列車 として運行されていました。しかし、2003年の11月に北京市民と上海市民の香港自由旅行が解禁されると乗客の層に中国市民 が増えました。だからそれまではガラガラだった直通香港列車も今ではシーズンになると席が満席という現象も起こるようになってきました。

 列車は高級軟臥(高包)、軟臥、硬臥の編成で、それに食堂車、荷物車、電源車が編成されています。広州東駅で硬臥が増結されます。 以前でしたら、中国入国(もしくは出国)は広州方面の東莞というところで約1時間行われていましたが、(2003年11月以降)今では出発駅で出国審査を行い、到着駅で 入国審査を行うようになりました。それだけ列車に乗る時間も減ったのです(北京西まで約24時間、上海まで約22時間)。 出国審査する場所は九龍駅内の専用の場所で行い、発車約1時間前に行われます。そして発車30分前にホームに行くことができます。 列車はZ列車などの新型車両よりは古くなっていますが、改めてそのいい感じの古さから歴史的なオーラを感じ取ることができます。

 列車は15:00発車。次の停車駅は上海と掲示されています。自分の乗った車両は高包です。個室内に電源は無くて、通路の電源を利用するという方法ありません。車両は2人部屋の個室が8つとシャワー室が別にあります。高包乗客は香港市民。主に上海で働く父親の元に行く、また家族旅行がほとんどで満席です。軟臥と硬臥も香港バレー団や学校関連旅行の 乗客で埋まっていました。高層ビルが立ち並ぶ中を列車はゆっくり進み、まだ暑い炎天中の中を広州方面に向かっていきます。ビルのガラスに反射した太陽の光が列車の中に飛び込んで 車内に夏のまぶしさをもたらします。ゆっくり速度は羅湖まで、深センの国境をくぐるとどんどん加速していきます。130キロは出しています。だだっ広い広深鉄路の景色は飛ぶように流れ去っていきます。

深セン国境を架ける橋  日が傾くころ広州東駅に到着しました。30分ほど停車しますが、食堂車から先に新しく硬臥車が連結されます。広州東のホームには降りれません。降りようとしても服務員や列車長が許してくれません。「NO!」 と言われます。つまり香港出国のハンコを押されて、まだ中国入国のハンコは押されていないので、仮に間違ってホームに下りてしまって捕まってしまったら不法入国扱いにされます。 降りたくても降りられない。この理由が「缶詰列車」と呼ばれる由縁です。広州東からも乗客は乗ってきますが硬臥車のみで、軟臥や高包には乗車できません。また食堂車にすら入れません。香港以外からの乗車する客は隔離されます。

 広州から食材を積んできたので、食堂が営業を始めました。車内販売で椰子の実が売られていて1個5元と安く、香港の物価の高さに辟易していた自分は手を出してしまいました。これが後の悲劇の爆弾です。 夕食は玉子焼きとマーボー春雨とご飯です。シャワー室を使いたかったのですが鍵が閉まっていて、服務員もいなかったのであきらめました。夜は11時に寝ましたが、夜中味わったことの無い腹痛を感じ、トイレに駆け込みました。 完全な食あたりです。香港にいたときからお腹の調子は良くなかったのですが、おそらく椰子の実の水でとどめを刺されました。それから朝まで2回ほどトイレ通いが続きました。

K100次のバイキング式朝食  翌朝は辛くても胃に何かを入れなければいけないと思い、食堂車に行きました。朝食はなんと中華式朝食バイキング(20元)でした。 中国の列車に乗車して食べ放題は初めてです。16種類はありますが、自分は紅茶と包子だけいただいて止めました。列車は華南から華中へと進んでいきます。 外の景色が畑が水田へと変わっていくのがわかります。日が出てからの途中停車が金華西だけですけど、昨晩からの悪影響が続いてあんまり動いていません。通路のいすに座り、上海到着までじっとしていました。 銭塘江を渡り杭州に入り、しばらく進むと水郷地帯から高速道路や高層ビルが見えてきました。上海市内に入ってきました。
 杭州を通過してから服務員たちがブランドカバンやお菓子、服飾の車内販売を何度も 行っていますが、倉庫らしき場所が見当たりません。食堂車にはスペースが無いし、高包と軟臥は満員ですので置き場がないはずです。

 そういえば昨日から開かずの間であったシャワー室の扉が開いていたので中を覗いてみると、

おいおいシャワー室を倉庫に使っているんじゃねえよ(怒)。

利用客がまったくいないのか、大陸の方はシャワーを浴びる回数が欧米人より少ないのかわかりませんが、いまや直通列車のメインであったシャワー室は、欲望という名の列車販売倉庫に様変わりしていました。 2度とシャワー室が使われることも無いでしょう。
 上海駅で入国審査を済ますと、景色が歪みそうなくらい暑い上海駅前広場を後にして、ホテルに向かいました。まだ体調は優れませんが、明日にはもう中国国内の最長列車が待っているからです。 次回は「強襲・阻止限界点(何の意味だ)、T52次」を送ります。

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