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Z15次乗車記

乗車した列車番号 乗車区間 切符の種類 切符の金額 乗車した日付 乗車した時間 乗車した距離
Z15次
北京ー哈爾濱
新空調軟座直達臥上鋪
新空調軟包特快臥下鋪
411元
457元
7月29日〜30日
10.5時間
1248キロ
 行き編
RW19T型高包車両 北京駅で  「もしかしたら帰れないかもしれませんよ」。初ウルムチで浮かれる直前にしてどうしてもハルピンー北京間のZ列車切符を入手 できない友達からの連絡でした。どおやらハルピンを出る予定が8月1日の日曜日だからハルピンで切符を販売している知り合いから もう無いと言われたらしいです。「もしなんかあったら飛行機も手配しておきます」と言われましたが、飛行機を利用したら何のための 10000キロ鉄路旅行なのか意味なさないので、帰りの北京行きは無座覚悟でハルピンに行くことにしました。それならそれで面白いし、 北京行きの特快ならあと2本あるので硬臥でもいいという考えでもいました。切符も「ハルピン行きはもう軟臥の下段はありません」と言われ、上段で行くことにしました。

 4月に登場したノンストップ直達特快(Z列車)のウリは食堂車を除く全軟臥編成で(一部の列車で硬臥や軟座が連結されます)、全席TV付きで料金は特快の軟臥と同じというお買い得列車ですので、 プチ小金持ちが多い北京市民の間では(今まで使いたくても軟臥の絶対数が足りないため)一気に軟臥利用客が広まっています。 そのため列車は夜の8時半に発車しますが、軟席候車室は北へ涼みに向かう利用客で一杯で、ゆったりとした軟席の意味を成していませんでした。入り口には 「この部屋にいるのはかまいませんが、ここでの切符改札は1番ホーム利用客のみですよ」と半ば「使うなよ」と脅しの意味合いもこめて看板がありました。 軟席候車室を使おうとしている利用客を制限しようとしていることは見え見えです。

ハルピン行き直達特快列車  八時前に列車が入線して、自分も先頭の機関車を撮影し終わって乗車する15号車に向かおうとする途中見慣れない室内を見ました。
 「これって高包じゃないの?」 なんと運のいい、無いと思われた高包車両を発見したのです。この日朝から大金を無くすは(日本で出てきた)、バスは「班車だ」と言われ乗車を拒否されたり、まあ不運が 重なりましたが悪運が強いと言うことでしょうか、本命を発見できたことは喜ばしことです。自分の軟臥の乗客はとてもじゃないが雰囲気が悪かったし、つまらない軟臥上段 も嫌でしたので、機会があったら高包に替えてもらおうと列車長を食堂車で待っていました。
 食堂車は夜遅いとあってお客は多くありません。メニューは大体25元前後で西洋のメニューが注文できます(120元のメニューもあった)。 ハルピンビールは1瓶8元と安く、注文しました。食事をとっていたら、高包担当の服務員と列車長(共に美人でした)が来て高包の下の空き状況を調べてもらいました。料金は下段が867元、上段が830元と 従来の特快の高包より2倍以上の価格でした。追加料金は高包下段で457元でした。

 高包車両(RW19T)は10両目にあり、8個の部屋で構成されています。定員は16人で2段ベットとソファーがあります。トイレは個室内についているため、車両自体にはありません。造りは特快や快速に使われる車両(RW19K)と同じですが、木目をふんだんに使っている ので豪華さはZ列車のほうが上です。
 電源は個室内にあるだけで、通路側にはありません。トイレは全車両真空フラッシュ方式で停車中でも使えます。ベットの下段は上段よりも少し広いです。TVといっても衛星は放送していなく、すべてビデオ放送でした。 上段の客がいないので、一人で独占で利用していました。スペースも戸棚の奥行きがそれなりにあるので、部屋は軟臥よりも広いです。服務員のサービスですが、切符だけ拝見してそれ以外の作業もありません。 こんなに簡単でスムーズな手続きは初めてです。朝は到着30分前に起こしにくるだけです。

 翌朝6時半に起きました。食堂車は営業していませんでした。7時到着ですので営業を行う意味が無いのでしょう。外を見るとトウモロコシ畑が広がりあたかも北海道にいる気分でした。 朝の涼しいそよ風と共に列車はハルピン駅の1番ホームにすべりこみました。 ハルピンのホームに降り立ったら、確かに風は気持ちいいものですが日差しがとても強そうで、帽子が無いときついと感じました。とりあえず行きは無事ハルピン駅に到着できました。

Z16次乗車記

乗車した列車番号 乗車区間 切符の種類 切符の金額 乗車した日付 乗車した時間 乗車した距離
Z16次
哈爾濱ー北京
新空調高級軟臥直達下鋪
867元
8月1日〜2日
10.5時間
1248キロ

豪華候車室を守る屈強な美女たち  ハルピンー北京間の切符の購入はハルピン駅到着後すぐ買いに行きました。切符購入場所は入り口の2階にある3日以内切符販売所です。左から軍人優先窓がありますが、3番目にZ列車取り扱い と掲示してありました。上には、切符の残数状況を示す掲示板がありますが、まだ8月1日の状況は掲示されませんでしたが、だめもとで駅員に聞いてみました。
 軟臥は残念ながら8月1日は売り切れでした。 しかたなくZ16次の高包で戻るか、昼間走るT72次の硬臥で戻るか(北京ーハルピン間のT17/18次、T71/72次は共に軟臥がありません。あるのは硬臥と硬座と食堂車のみです)、一旦大連まで出て、2階建ての寝台車で 北京に戻るかプランはありましたが、Z16次の高包切符があったのでそのまま買ってしまいました。今考えれば、大連経由の北京戻りが面白かったのですが、もう遅いです。ハルピン駅にはダフ屋がゴロゴロいて、駅前で北京北京や上海上海 と声を上げていました。

 ハルピンに来てからというもの、「ここ本当に北?」と疑問に感じるくらい、暑い日が続きました。湿度はありませんが、日差しが強く、海外での日焼けはハルピンで焼きに行ったものです。 この日の夜ハルピンを去るわけですが、午前中は面白い映画がやっていたこともあり(ジュラシックパーク3、マトリックス2、あと指輪物語全3話を30日に放映していて、夜中まで観ていました)、チェックアウト ぎりぎりまでホテルにいました。
 お昼から暑いハルピン駅前にウロウロするわけですが、荷物もあるので駅に入ってしまいました。ハルピン駅前はアイス屋とジュース屋がいっぱい。飲み物には困りませんでした。 棒アイス一本1元、ペットボトル水一本1〜2元ですが、朝いちで買った水に当たってしまい、お昼は飲まず食わずでした。ブランド以外の水は買ってはいけないと北京の友達に言われましたが、まさにその通りでした。 それで予定していた午前中ハルピンーチチハル間の日帰り特快旅行も大事をとってやめました。

Z16次の晩御飯、大体一品20元〜25元  ハルピン駅前には4つの候車室があり、中国移動通信のVIP室、軟席候車室、豪華候車室、中国聯通のVIP室がありました。 駅車内は、普通候車室、軟席候車室、豪華候車室、妊娠している女性や子供を抱える家族・老人専用候車室、軍人専用候車室です。 Z列車切符を持っていれば軟席候車室と豪華候車室が無料で使えます。豪華候車室ですが、Z列車以外の軟席切符を持っている乗客は入り口で10元出して切符を 買って中に入れます。軟席候車室との違いは室内が豪華候車室の方が広いだけで、差はありません。 ただし、美人だけど屈強なオネーちゃんたちが厳しく入り口を監視していますので、Z16次を見せても「入り口切符を買え」(確認しろ!!)などと言ってきます。

 候車室の中の物価は高いので、荷物を置いてちょくちょく外出していました。東北地方は今不況のどん底で、とても治安が悪いと 友達に聞かされていたので(だからハルピンにはスーパーが無いのか?)、長時間荷物を置き去りに出来る勇気はありませんでした。軽い食事や水分補給などに出かけましたが、顔は覚えているはずですが、相変わらず切符をきちんと見せないと 切符を買えとうるさく言われます。お昼から夜8時まで豪華候車室とはいえ、買い物以外はそこにじっとしていることはきついものもありました。 お昼からずっといるのでさすがに不審者に見えたのか、2回ほど疑われ中でも切符を見せました。

 夜八時、ようやくZ列車案内が掲示されて、待ちくたびれたお尻をさすりながら先頭車両に写真を撮りに行きました。Z列車は1番ホーム固定ですので、移動が楽です。 この前乗った車両と全く同じですが、服務員が全員イケメン風の男でした(悲)。軟臥切符が無いということで、高包も満室でした。 高包の自分の部屋に行ったら、上段のオヤジが下段でくつろいでいるんです。こっちは高い切符を買ったのに(お金が無くなりしばらくハルピンと北京でビンボー暮らしが続きました)、安切符に占有されるとはとの悔しさと ハルピン駅での疲れと乗客のいい加減さに頭にきて、切符を見せながら

「どけや!ゴルウァ!!」

Z16次の高包トイレ 停車中でも使えます という風な感じで喧嘩売ってしまいました。さいわい相手が驚いて上に退避してくれたので、国際問題にならず 助かりました。短気はいけません。
 列車は8時半に出発しましたが、みな早々に寝てしまって軟臥、高包とも明かりがつけっぱなしにしているところはほとんど無く、元気なのは先ほど激怒した 自分だけでした。無理して高包下段を買ったのでお金があと200元くらいしかないのに食堂車に行きました。ウエイトレスさん(服務員もだけど)は全員イヤホンマイクを装備していて、注文したその場からマイクで厨房に メニューを注文しました。
中国人は冷たいものはあんまり飲まない習慣があるからなのか、以前の中国の列車は1瓶10〜20元もするビールを冷やそうとはしませんでした(地方へ行くと常温放置のビールしか売っていない駅もあります)。
しかしZ列車はきちんと冷ケースがついていて、飲み物が冷やしてあります。しかもハルピンビールは1瓶8元と街中から見れば高いですが、列車の中だとかなり安い部類に入ります。 ハルピンが暑いおかげでビールもおいしく感じました。列車速度の148公里もいい感じです。
そういえば今回初のZ列車で無座の乗客たちを幾人も見ました。食堂車のテーブルで突っ伏しているのですけれども、お客が来れば排除され、お客が戻ればまた食堂車に戻るという行動をくりかえしていました。

 部屋で困ったことは、高包トイレのドアが故障していたのかなかなかしまりません、内側からなら閉まりますが、外側からだとなかなか閉まってくれません。何度も夜中足で蹴飛ばして閉めていたような記憶があります。 翌日は6時過ぎまで寝ていました。服務員が起こしに来てもまだ寝ていたようでした。北京駅に入るころ、ようやく着替えをして、到着して5分後列車を降りました。 出口を出て「むおん」くる北京の高い湿度を体感してしまうと、まだハルピンの方が住みやすいと感じました。

次回は、長江の暁に列車は走るZ49次乗車記をお送りします。

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