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Z42次乗車記




乗車した列車番号 乗車区間 切符の種類 切符の金額 乗車した日付
Z42次
上海ー天津
新空調高級軟臥直達
842元
1月4日〜5日


上海駅の待合室 1月4日   Z41/42次は天津を発車する唯一の直達特快で、天津ー上海間の乗客利用向上に期待された列車です。そのため運行された当初から高級軟臥も連結しているとネット上でさんざん宣伝していましたが、実際に高包が編成されたのは2004年12月1日でした。 高包の連結が1ヶ月前ということで、上海軟席切符売り場の職員には伝わっていないのか、ここで高包切符が「ある」「ない」とさんざんもめた挙句、うんざりした担当職員が適当に同僚に聞いたところ「あるよ」との答えが返ってきて、あわてて調べたら ありました。しかも1号席(自分が1番早く購入しました)。ここで彼女が「私が間違っていました、ごめんなさい」と謝ったので許しましたが(1月1日午後3時50分)。

 これが仮にほとんどの高級軟臥希望の乗客を彼らの「調べもせずに無い」と無知で切り捨てて、乗車しようにも乗車できなかった場合、切符売り場の責任は重大です。 普通の世界なら車両の増結の場合、すぐ切符売り場に連絡が行くはずですが、中国鉄路駅員の悪い部分は外国人が考えている以上に連絡、教育、服務の業務向上意識が遅れていることです。
 もっとも彼らにとって外国人利用客が困ろうと関係ないという化石の習慣、既成概念が定着しているので、意識を変えようにも末期ガン症状で無理でしょうけど。

Z42次を牽引するDF11G機関車 1月4日   中国鉄路のトップは志が高く日本のJR並に立派なのですが、実際現場を廻しているのは(機関士やZ服務員を除き)安い労働力で単調な業務しかこなせない無駄に多い職員ばかりですので、トップの意識と現場やる気の無い意識のギャップがあまりにもかけ離れています。この時代から取り残されている現場の習慣がどの旅行本でも評判の悪いタクシーと並んで、 もっとも不便な中国鉄路の「顔」となっています。せめて北京(西)・天津・上海・広州・深センクラスの駅なら外国人利用客が多いため、親切なインフォメーション、切符窓口や候車室を分かりやすい場所に設置、表示しておいてもらいたいものです。

 さて中国鉄路に対する苦言が長くなりましたが、Z42次です。完成されてまだ1年たっていない車両ですので、まだメンテナンスが行き届いていますが、これが3,4年と経ちボロボロの車両になっていたら、中国の鉄道は終わりです。
 Z列車が世界の高速列車と並んで歴史に残るか残らないかは、乗客利用度の反応も必要になってきます。 この列車に必要なのは「気配り」(常に乗客を満足させる)ですので、服務員の業務と車両内部のメンテナンスのレベルを維持しておいてもらいたいものです。

 Z42次が発車する前に、先に北京行きのZ列車が5本発車します。Z42次発車後は2本の北京行き特快も発車します。夜の7時から8時の間に8本もの特快列車が発車するわけです。 当然それに合わせるためにダイヤも調整しなければならず、Z列車前の南京方面行きT732次列車が発車した後は1時間半の間があります。
 しかし杭州ーチチハルの普快(1342次)は上海西駅を18:20に発車しますので途中駅でZ列車のゴボウ抜きが待っています。他の普快や快速も途中駅でZ列車の餌食になりますが、ほとんどは夜中です。しかし先ほどの 列車は20時近くにどこかの駅で1時間停車しなければならず、その間はトイレにも行けません。Z列車発車前に出発する普快クラスは乗車前の飲料をできるだけ控えたほうがいいと思います。

Z42次のサボ 1月4日  最近の中国マスコミではZ列車の軟臥を「3星級」、高包を「5星級」とホテルになぞらえて賞賛しています。室内の清潔さと服務のレベルの高さから来ているようです。特に高包はベットの広さ(下段:奥行き80cm、軟臥は75cm、ちなみに硬臥は60cm)と各部屋に個室トイレの設置と軟臥よりも利用勝手がいいので、切符もそれなりに高いです。 この時期は閑散期も重なりますが、今回の高包乗客は2人で自分ともう1人だけでした(春節ならこのクラスも埋まっています)。

 高級軟臥に乗る際注意していただきたいのは軟臥もそうなんですけど、上段は意味がありません。窓からの景色は見えないし、上り下りも面倒だからです。だから仲間内で乗車するならともかく、個人旅行で高包や軟臥で上段しか席が空いていなければ、 クラスを下げて軟臥や硬臥の下段を狙うという手もあります。クラスを下げた下段ベットの方が料金も安いし、ベットの上り降りもしなくて済むわけです。ただZ列車は夜発早朝着の列車ばかりですので、最終的には寝るしかありませんが。

 Z列車に乗車して気づくのは、乗員の数が他の列車と比べて少ないことです。服務員は2両を1人で廻しますし、食堂車の厨房士は2人、ウエイターは3、4人、乗警は2人でそのうちの1人は食堂車にあるミニバーでドリンクを販売していました。少ない人数で列車を廻していますよとアピールしたいみたいですが、Z列車は途中停車駅がなく、寝台切符もわざわざ換票証と交換する必要が無いので、 業務内容は乗客の乗り降りの安全の確保と車内の清掃ぐらいですか(笑)。食堂車は朝6時台から7時台に到着する列車がほとんどで、朝の営業はほとんど行っておらず、実質夜の営業だけです。人数が少ない分給料は良さそうです。また他の列車服務員に比べて親切だし、服務サービスも行き届いています(このレベルが何年先まで持つか楽しみです)。

高級軟臥ソファー   上海駅の軟席候車室はZ列車乗客の混乱を防ぐため、Z14次以外の北京行きZ列車乗客は1階の手前のエスカレーターに乗れず、候車室の奥にあるエスカレーターに乗って、3階の軟席候車室に向かいそこからホームへ進みます。Z42次は1階の候車室で大丈夫でした。夜7時手前になるとZ列車に乗車するため軟席候車室に大勢の人がやってきます。ほとんどの乗客が当日に切符を買ったらしく、 大きい荷物ときれいな切符を持って、慣れない足どりで奥のエスカレーターに向かいました。
 19時にZ42次の乗車案内が掲示され、10番ホームへ向かいました。列車は1〜6号車が硬臥、7号車が餐車、8号車が高包、9〜18号車が軟臥で、天津方面から若い順番編成です。
   先頭機関車にいくと、ずらっと隣のホーム以降に3台のZ機関車が静かにそれぞれの発車を待っていました。夜だから真っ暗で分かりませんが、 夏だと陽がまだ出ていますので、6本のZ列車がそれぞれホームで並んでいるので壮大な光景が映し出されます。

 5本の先行Z列車を見送ったあと、いよいよ天津行きのZ列車が動き始めます。列車が音も無く動き出し、途中途中で鈍い音を立てながら分岐ポイントをジクザグに走行し、上海駅を出て漆黒の空間に向かって行く様子は巨大な生き物に乗った感じです。列車は上海駅を通過するとジョジョにスピードを上げあっという間に140キロ台に突入します。

高級軟臥2段ベット  さて今回も私は高級軟臥に乗車しました。気付いたら過去のZ列車乗車のうち半分は高包乗車という、親が見たらあきれる列車旅行を続けています。今回の高包下段の値段は842元。この料金なら軟臥の上段ですが、北京西ー昆明間のT61/2次に乗車できます。
 完成したばかりの高包ですので、車両自体がとてもきれいです。窓には白いレースのカーテンがなびき、2部屋8個の各個室の中は、ゆったりとしたソファーやいつでも充電できる 電源があります。各ベットにはVCD用の液晶TV設置されており、色々なスイッチが目に付きます。この車両にはトイレは付いていませんが、各個室にいつでも使用できるトイレもあります。室内は禁煙ですが高そうな灰皿やプレートが置かれています。

 一度ビジネスクラスに乗ったら2度とエコノミーには乗れないといわれていますが、Z列車の高包も何回か乗車すると、また乗車したくなるほど設備、サービスが豊富です。 高級軟臥にZ列車案内のしおりが置かれていて、服務内容のなかで直接部屋まで注文した食事を部屋まで届けるサービスを行っています。この列車にはネット(無線ラン)が出来るとは書かれていませんでした。

 今回は乗車前上海駅前の安食堂で既に食事を済ませていたので、食堂車を使う気にはなれませんでしたが、結局行きました。食事はしませんでしたが、服務員にメニューを見せてもらいました。人気が無いのか作るのが面倒なのか幾つかのメニューは修正液で消されていました。 中国に来てから無収入の生活が続いていますので、普段の食費(15元くらい)よりも高い列車のメニューを注文する気になれずなれません。ビールの価格が列車によってバラバラで、今までのZ列車で最も安かったのがZ15/16次ハルピンビール1瓶8元。Z14次のバドワイザービールが1瓶15元〜20元でした。

 今回は乗車記が多いので、高包に籠もってタイプ打ちです。今回Z列車に付いている液晶TVVCDで「パールハーバー」と「トゥデイ・アフター・トゥモロー」(中国名前「后天」)を観ました、といっても旅行記の仕上げが大切だったので、音声しか聞いていませんでしたが。Z列車は運行上一番優先される列車ですので、途中駅を通過するたびに、貨物やその他の列車を気持ちいいくらい軽快に抜いて行きます。また北京市内ですけど、Z列車発車時間帯は 踏み切りという踏み切りは1時間ほど通過不能になります。それほどZ列車は現在の中国鉄路において今後列車の性格を決める重要な分岐点ですので、他の列車と違いハード面、ソフト面と共に優遇されているわけです。


天津ー秦皇島行き列車 1月5日   列車の南京通過は大体23時過ぎ。南京長江大橋を渡り終えた後、いつの間にか眠ってしまいました。翌朝完全熟睡していたのでほぼ服務員にたたき起こされる感じで眼を覚ましました。6時42分に天津駅に到着しますが、まだ暗いです。列車は天津西、天津北をスローで通過した後は天津駅のホームにゆっくりとすべり込みます。途中北京行きの城際特快とすれ違いしましたが、この列車は6時半ごろが天津始発です。駅に到着した後は、まだ完全に眠っている体に 気合だけで荷物を抱え、天津駅出口に向かいました。

Z列車はわれわれ外国人観光客が唯一手軽に乗車できる列車です。仕事や観光等でZ列車が走っている区間を移動の際、是非1度この列車に乗車してみて下さい。

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