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中華之星往復乗車記

05年12月10日乗車 著者:にしやん様

*文章および画像は著作者にあります。したがて無断使用は厳禁!!


【序章 衝動】

 以前からボーゲン様のHPで中華之星の存在は知っていましたがなかなか腰が上がりませんでした。しかしボーゲン様の「時刻表に載っていない中国鉄道」を見た後に臨時列車なのでいつなくなるか分からないと思い立ち乗りに行くことにしました。

【第一章 旅立ち 12月9日】

 撫順市内にある私の大学の前から瀋陽行きの高速バスに乗る。大学の前でいつもバスが客引きをしているのはありがたいが、たいてい通路に置いたプラスチックの椅子に座らされる。事故がおきたら死ぬと思う。警察の取り締まりが厳しいときはカーテンを閉めていろと言われる。この辺のいい加減さは中国ならではだ。

 大部分のバスは瀋陽北駅には行かないので途中で降ろしてもらわなければならない。しかしこの日は窓が凍っていて外が見えなかった。
 辛うじて隙間から見えた景色で瀋陽北駅に近いだろうと判断し大声で「降りる」と車掌に言った。しかし出口に行ってみるとまだあと5キロはある場所だった。通路に座っていた人を掻き分け出口に向かったこともあり、今さら「間違いでした」というのも格好悪いので降りることに。情けないがそこからタクシーで瀋陽北駅に向かった。

 瀋陽北駅では、切符のダフ屋が大量に声を掛けて来た。はっきり言って邪魔。ダフ屋摘発がうまく行っているようにテレビでは報道しているがとんでもない話である。こういったダフ屋が消えないかぎり中国で鉄道旅行が気軽に出来る日がこないと思うが、まあ無理だろう。

 切符発売窓口であらかじめメモに書いておいた「瀋陽北−山海関」往復のメモを駅員に見せる。

115元と言われる。
「軟座が欲しいのですけど」
というと
「87元と55元の2種類があるんだよ!」
と言われた。

とりあえず、中国国鉄最新の乗り心地はどんなものか確かめたくて87元の切符を購入した。その後駅前の吉野家で牛丼で少し遅い昼食をした。中国生活も長くなると吉野家の牛丼が本当に美味く感じる。

【第二章 東横イン最高!!】

 瀋陽北駅前の東横インに泊まることにしました。一泊朝食つきで150元はそこそこのサービスが期待できるなと思った。チェックインで床屋と按摩のただ券をもらう。按摩券は使わなかったが、夏に日本から中国に来て以来伸び放題だった髪を散髪してもらう。

 いままで数件中国のホテルに泊まったが、ここの2倍の料金でもここまでのサービスがない。しかも部屋には衛星放送が付いており、久しぶりにNHKを見た。セーフティBOXもある。18階で見晴らしもよい。経験を言うとここより高い成都で泊まったホテルの部屋は地下で窓がなく、部屋中カビだらけだったのでうんざりさせられた。
 鄭州で泊まったホテルは夜8時から1時まで一時間おきに「按摩いかが」としつこい電話が掛かって来た。
これもない。日本だと単なるビジネスホテルだがサービス概念の無い中国に居ると天国に感じる。

【第三章 不思議な改札 12月10日】

 瀋陽北駅で軟座待合室に向かうが軍人に占領されていて入室できず。仕方がないから一般待合室にむかう。その後改札を通りホームへ。いつも列車に乗るときは我先へと乗車したがる人民と一緒に。押しあいへしあい改札を通るのだが、この日はそれがない。乗る人が数人しかいなかった。

 「人いねーーーー」と思いながらホームに。余談だが改札には自動改札機があるのだがこれを使う日は来るのだろうか。

中華之星正面 ホテル東横イン

【第四章 ホームにて】

 いよいよ中華之星と対面。「うぉっ。まんまオーシャンアローじゃん」と誰もが思うであろう感想がでた。ホームでは列車員が検札を行っていた。とりあえず写真撮影を始める。対面のホームからとも思ったが柱が邪魔になるような気がしてやめる。その後列車に乗り込む。私は8号車、人が3人しか乗ってない…。

 もっと宣伝しろよ、中国国鉄。まあ、私は人が少ないほうがいいけど。他の車両の様子を見に行こうとしたが鍵が車両間のドアにかかっていていてだめだった。どうやら出発まで列車間の移動は出来ないらしい。

【第五章 中華之星車内にて】

 7:42分。定刻での出発。瀋陽市内をゆっくり進む。この区間は夜行でしか乗ったことがないので新鮮である。旅客専用線に入った後加速を始める。
 椅子は少々硬い。フレッシュひたちの椅子みたいである。揺れは200系新幹線ぐらいであった。

 しばらくすると列車員がイヤホンを持ってきた。VCDの音声をこれで聞くのである。番組は漫才とハリーポッターである。ハリーポッターを見てみるが途中で終わった…。なぜ?画面にはDVDと出ていたのでディスクの交換もいらんはずだが。ボーゲン様もファインティングニモが途中までしかやらなかったと書いていた。不思議である。
 その後トイレに向かったが鍵が開かない。近くで雑談をしていた列車員が別の車両のトイレを使えと言ってきた。掃除がめんどくさいのかと邪推してしまう。

中華之星車内 中華之星車内 中華之星車内 

 車内を歩いてみる。2等座席の7号車には一人も乗っていない。列車員が雑談天国をしていた。4号車のビッフェに行ってみた。列車員はやる気がない。無視していたので私も2枚ほど車内の写真を撮って自分の座席に戻る。錦州南を越えると車窓から雪が消えた。さすがに海が近くなると暖かいのだろうと思う。

食堂車 一等軟座

【第六章 山海関駅到着】

 定刻より10分早い10:30分に山海関駅に着く。早着も事故の原因のひとつになると思うのだが…。このダイヤのいい加減さも高速鉄道網を作る上でネックになっているのだと思う。
 対面のホームから中華之星の障害物なしの写真が撮れそうだったので撮影を開始する。

 一両一両撮っていたら。駅員が事務室から出てきて。
「何やってるんだ!」と言われた。
「この列車に乗ってきて、ただ珍しいから写真を撮っている」と切符を見せると帰っていった。
中国での駅撮りは面倒である。

中華之星正面

 駅舎は立派であった。まさにバブリーな建築物である。費用対効果をまったく考えていない。出口には白タクの運転手がたむろしていた。無視するも、大通りに出るまでついて来る。煩わしいことこの上ない。
大通りに出ると山海関の城壁が見えた。修復も一部のようだ。

 私は修復していない長城が歴史的価値があると思う。中国では修復したものをありがたがる傾向があるようだ。修復といっても元のものより立派に作り直してしまう。これでは歴史資料の価値が皆無になってしまう。まあそこら辺は民族の性格の違いだろう。

山海関のチケット売場にむかう。

観光客が本当にいない。お土産屋が一斉によってくる。すべて無視する。チケット売場のねーちゃんが居眠りしている。まどをたたいて起こした。

 中に入ると「ガイド20元でどお?」とねーちゃんが来るが丁重にお断りし観光を開始する。城壁に上る。上にはデパートの屋上にあるような乗り物が数点あった…。風景台無し。
 逆側をみるといい感じ。山に向かって長城が伸びている。天下第一関の額を見ると「次は玉門関にでも行くかー」と思ってしまった。
長城でいけるところまで行って引き返す。歩いていたのは一人だけ。北京郊外の八達嶺長城とは大違いである。

山海関 中華之星機関車

その後出口で待ち構えていた白タクどもをすべて無視し長城博物館へ向かう。 パネルの展示ぐらいしかなかったのは残念。
 某ガイドブックを見ると南門からバスが老龍頭まで出ているが、掲載されている番号のバスは全然ちがう方向に行くことが判明。あぶないところだった。本物のタクシーで向かう。30元と載っていたが10元で行った。 編集者はぼったくられたんだと思う。
 タクシー到着後、うっかり「チケットはこっち」という客引きの声を聞いたのが間違いだった。入ったところはダンボールで作ったようなミニュチュア長城の博物館。約30元はぼったくりだ。中国では油断するとこういう目に会う。


老龍頭 老龍頭上

 その後本当のチケット売り場に向かい老龍頭を見る。
 風景がすばらしかった。渤海に長城が突っ込んでいるのはなかなかの風景である。 2時間ほどゆっくり見て山海関に戻る。出口でまたも白タクが声をかけて来たが無視し、バス停を見つけてバスで戻る。南門付近を散策したのち山海関駅の待合室で待機する。

【第七章 中華之星壊れる】

 改札が始まり、また私の座席は8号車だったので向かうと8号車だけ電気がついていない。どうやら電気系統のトラブルらしく9号車で待っていろと言われる。
「やっぱ試作車だなー」と思いながら待つ。出発5分前に修理完了。
 17:00定刻出発。またもや車内には3人のみ。イヤホンを配られるが私の椅子のVCDは壊れているらしくガーガーという音のみで音声は聞こえない。隣の椅子で見ることにした。ハリーポッターが同じところでまた終了…。ビールとソーセージを車販のにーちゃんから買ってくつろぐ。 こういった旅もまた乙なもんだ。

二等軟座 瀋陽北駅にて

【第八章 鉄の帰還】

 瀋陽北駅にまた10分ほど早着した。またも吉野家で牛丼を食ってホテルに戻る。翌日瀋陽駅までのバスに乗り、高速バスで宿舎に戻った。夏の旅行はひどかったので今回の旅行は上出来だったと思う。

中華之星旅行記 終


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