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シルクロード:南彊線N948次乗車記

カシュガル→クチャ

05年9月乗車、著者まさき様


*文章および画像は著作者にあります。したがて無断使用は厳禁!!


中国の地図を初めて開いた時から、中国最西端の街カシュガルまで 列車で行ってみたいと思っていたのですが、遂にその機会に恵まれました。 旅程の都合により、列車の利用はカシュガルからの上り列車となりましたが、 中国最西の鉄路、南彊線の模様をお伝えします。

 南彊線は広大な新疆ウイグル自治区を走る全長1445kmの路線で、 蘭新線のトルファンから分岐して天山山脈を越え、砂漠の中をひた走り カシュガルまでを結んでいます。途中コルラまでは80年代の開業ですが、 カシュガルまで伸びたのはまだ数年前のこと。

 運行形態は図のようになっています(いずれも1日1往復:2005年4月現在)。

 南彊線は友人との二人旅。飛行機で上海からウルムチ経由でカシュガルに入り、 乗車日の前日(9月19日)に切符を買いに行きました。市内で自転車を借り、市街地から数km 離れたカシュガル駅へ向かったのですが、駅へ向かう大通りには車の影はほとんどなく、 時折ウイグル族の乗った馬車やロバ車が通る程度の非常にのどかな風景でした。

 カシュガル駅の駅舎は新しいということもあってデザインも奇抜でしたが、 列車が1日2本しか来ず、また辺鄙な場所にあるということで人もまばらでした。 切符売り場もガラガラで、並ばずに切符が買えました。クチャまでのN948次硬臥を2枚購入。 窓口のおばちゃんは、コンピュータを叩くまでもなく、カウンターに置いてあった 切符の束から2枚抜き取って渡してくれました。主だった区間については 予め発券しおいてて、すぐ客に渡せるようにしているのだと思います。
 ここの切符売り場では残席表示は「有」「無」だけではなく、残席数が 表示されていて非常に分かりやすかったです。カシュガル駅から出る2本の列車のうち、 8872/3次の普通列車は安いからなのかほぼ満席でしたが、私の乗るN948次は まだまだ空席があり、当日でも余裕で買えそうな雰囲気。

 また、乗り鉄に重要と思える表示がありました。

  • 新疆内の往復切符が購入可。
  • 新疆内各始発駅(アクス・コルラ・ウルムチを含む)からの切符が購入可。
 ですから、カシュガル駅で「カシュガル→ウルムチ」と「ウルムチ→北京西or上海」 といった切符も買える訳で、蘭新線に乗り継ぐ場合、いちいちウルムチで切符を 買い直さなくても良いというのは便利だと思います(この事は、ウルムチ駅待合室の 電光掲示板でも盛んに宣伝していました)。

 無事に切符が手に入った後、自転車でウルムチ方の駅構内の外れまで行って 貨物の入れ替えのDF5を撮影。その後、”中国鉄路の最西端”を見ようと、 反対側の端まで行ってみましたが、カシュガル駅からさらに西へ伸びた線路は 発電所の構内らしき所へ入ってしまい、その先で途切れていました。 カシュガルよりまだ先へ延長するといかいう話もあるそうですが、まだ工事などは 全く行なわれていませんでした。

 さて、乗車する20日は、発車時刻(16:49)の1時間ほど前に バスで駅に着き、待合室に入りました。さすがに列車発車前になると 人も集まり、駅も賑わっていました。今年はシルクロードがちょっとした ブームになっている事もあって日本人旅行客も多いようで、 待合室ではあちこちから日本語が聞こえてきました。

 発車の20分ほど前に改札が始まり、ホームへ出ると既に列車が 据え付けられていました。列車は14両編成ぐらい(?)で2階建て が中心。XL、CAと一部のYZは平屋の車両でした。機関車は DF4、機関車・客車とも所属は烏局庫段(コルラ客運)でした。



 私達は9号車(SYW25B)の上層でした。双層硬臥車に乗るのは初めてでしたが、 上下層とも2段ずつ4名1室の簡易コンパートメントになっており、 個室のドアこそありませんが、通常の硬臥より軟臥っぽくて ちょっとお得だと思いました。 同室の人に話しかけてみると、クチャで降りるそう。そりゃ、あんな 切符の売り方をしていたら同じ駅で降りる人ばかり集まるのも 当然のことですね。

 列車は定刻に発車。カシュガルを出ると車窓の緑はみるみる少なくなり、 あっという間に砂漠の中。一つ目の停車駅、阿図什を過ぎて餐車に 行きました。高い・不味いと不評のようですが、日本では食堂車で 食べるなんて簡単なことではありませんから、せっかくのチャンスです。

 餐車に入ると、警官や列車員がテーブルを囲んでいて客は誰もおらず、 営業しているような雰囲気ではなかったのですが、尋ねてみると、 もう開いてると言われたので着席。服務員に勧められるまま瓶ビールを 2本頼むと、なんと1本20元! た、太貴了!! 料理の方は特に新疆料理というわけではなく一般的な中華料理。 青椒羊肉と紅焼茄子、米飯を頼んで一人15元。こっちは味・値段とも 街の食堂と大差ないと思います。



 しかし自分たち以外に一般客は誰も来ず、まだ明るい砂漠を眺めながら ゆっくり食事をすることができました。 しばらくすると反対側の 列のテーブルにビールや皿が用意され、何だと思ったら日本人ツアー 客がぞろぞろとやってきて、ディナータイム。ツアー客には特別メニューが 用意されているらしく、次々に料理が運ばれてきていました。 ツアー客にとっても、砂漠を眺めながらの本格中華は良い思い出に なったのではないでしょうか。

 で、相変わらず他の客が来ないのをいい事に食事を終えた後も 餐車に居残って景色を眺めていました。丁度通りかかった車内販売員に ヨーグルトを勧められ、2元で買ってデザートに。1時間半近く 居座っていると「そろそろ帰れ」と言われたので部屋に戻りました。

 19時を過ぎてもまだまだ明るく、廊下の椅子に座って外を眺めていると 「雑誌〜、時刻表〜」と車内販売が来ました。時刻表を買い求めると、 ウルムチ鉄路局管内のもので、値段は3元。表紙の車両は 烏局管内で走っているとは思えないのですが(笑)

 2つ目の停車駅巴楚でカシュガル行き下り普通列車と交換。 時刻表によると普通列車は少し遅れている模様。交換駅というのに ホームが片側にしかなく、私の乗っている列車がそちらに 停車したため、下り列車から降りてきた客は出口に向かうことすら できず、線路の脇で待たされていました。



 20時を過ぎると徐々に暗くなってきたのでベッドに上がって寝ました。 クチャ着は1時45分なのですが、20分ほど前になると列車員が やってきて換票。同室の人ばかりか、この付近一帯の人すべてが クチャで降りるようです。しかし消灯しているため車内は真っ暗。 一時的にでも明かりを付けてくれたらいいんですが。

 5分遅れてクチャに到着。数十人は下車しました。 客引きのタクシーに捕まってそのままホテルへ。悪い人では なさそうだったので、翌朝はそのタクシーを借り切って1日 クチャ郊外を観光(300kmぐらい走り回らせてしまった)。 次の日はクチャ市内を歩いて観光し、夜の5805/8次で ウルムチへと向かいました。


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