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5107次乗車記




乗車した列車番号 乗車区間 切符の種類 切符の金額 乗車した日付
5107次
杭州ー金華西
新空調特等軟座普快
68元
1月3日


杭州駅の軟席候車室 まだ眠いです 1月3日   金温鉄道は1998年に開通した若い第3セクターの列車です。本来の営業運転は温州ー金華西間ですが、金温鉄道管轄の列車で杭州や上海、鎮江に行く列車もあります。 どうも日本にいると第3セクターというと質素な列車やいつ無くなってもおかしくない路線しかイメージできませんが、こちらの金温線はそれとは反対に隠し玉を結構 持っています。
 この金温線のサイトの中から温州から杭州までの料金票に編成されている車両も掲載されていますが、・・・・・・! 何なのコレ!?というくらい豪華です。2本の列車に高級軟臥が設定されているし、特等軟座も当たり前、他の地方分局じゃ有り得ない編成を打ち出してきています。

 しかも一番笑ったのは温州ー杭州間の5108次で硬座、硬臥、2等軟座、1等軟座、特等軟座、軟臥、高包と現在中国で使われている車両全ての種類が編成されていることです。 過去凄い編成だと思ったT35/6次北京ー済南間の特快列車(硬座、硬臥、軟座、軟臥、高包)よりも、 それ以上に金温線は我々の中国鉄路の車両編成に対する常識の範囲を超えています(いい意味で)。


5107次 1月3日  さて春節の混乱を避けてこの時期から出稼ぎ労働者などは地方へのUターンを行うため、切符を早め早めに購入するというニュースが流れていましたが杭州駅も例外でなく、 切符売り場には明らかに民工と思われる方々が窓口に固まって、仲間の切符を大量に買い込んでいました。待つこと30分、ようやく切符を買えると思いましたが、柵外から割り込みがあり こちらが大喝し撃退させるのに手間取りました。窓口の職員が「並ばないと売らない!」と援護してくれたのでようやく購入にこぎつけました。

 希望の切符は5107次の杭州ー金華西間の軟臥でしたが パソコンの画面を見るとどうやら短距離なので売ってもらえませんでした。時刻表全国版を見ると距離381キロから寝台切符料金が掲示されていますので、金華西までの191キロの間では軟臥購入は無理みたいです。 だから第2希望である特等軟座(68元)を購入しました。

 この列車普快だから快速料金は適用されないのですが、前日乗車したT729次(71元)と価格がほぼ同じでした。距離は191キロと200キロですので 距離だけなら切符料金は変わりませんが、3元の差が特等軟座の普快と快速料金の差だと思います。

5107次の換票証 1月3日  翌日朝8時に杭州駅に到着し、すぐホームに行きました。杭州の軟席候車室は入り口で改札を行い、後はフリーでしたので(ホームへのドアが開きっぱなし)ホームへの進入も容易でした。
 乗車する5107次はすでに停まっていて、外見塗装は25K型車両っぽいですが、いいセンスです。車両の造りは全車両25G型です。この列車の編成は硬座、2等軟座、1等軟座、特等軟座、 そして特等軟座にある個室を改造した軟臥1部屋と1人用高包(杭州ー温州間477元!!)1部屋があります。
 1等車両の中にはシートを除き内装がピンクカラーもありました。 杭州駅からの乗客は硬座80%、2等軟座20%、1等軟座40%、特等軟座70%(全部見た目で推測)でした。結構2等軟座と1等軟座は余裕がありました(おかげで使われていない車両もありました)。

 列車は8:20に杭州駅を発車ます。発車後北京から来たZ9次が隣のホームに入線してきました。列車は六和塔が見守る銭塘江を渡って急カーブになります。この先で杭州東駅から伸びている線路と合流します。特等軟座の乗客のほとんどは終点の温州までいくみたいです。途中隣に座っていた女性が補票で軟臥行きました(高包は金華西まで空いていました)。  この列車では特等軟座も切符と換票証を交換します。席は適当に座っていましたが適当に座っている番号の換票証をもらいました。

5107次 杭州駅 1月3日 5107次 ピンクの内装 1等車両、四方汽車車両製 1月3日


   全車両に液晶TV6台ほど設置されていて、杭州の広告会社が映画や番組のサービスを行っていました。しかし中にはえげつない番組を放送していて、スポーツ番組かと思ったら、有名サッカー選手の汚点特集(麻薬、不倫等)を流していました。どうして普通列車の車内テレビは建設的な内容がほとんど無いのでしょうか?以前乗車したZ12次(武昌ー北京西、硬臥オンリー)のときは抗日戦争映画を放映していて、 日本軍の残虐行為をモザイクにしないと放映できないのか?という内容を放映していました。乗客を何だと思っているのですかね?北京市バスTV広告と比べても天と地の隔たりがあります。 列車の広告制作会社には人材がいなく、不良在庫が多いんですか?と悪いイメージしか持てなくなってしまいます。
 Z列車で流す最新のハリウッド映画と違って、モラルもあったもんじゃありません。まあこの国の場合、拝金主義がまかり通っているので、サッカー選手をけなすなら各省幹部の金まみれ特集(公共財政の私物化)のほうがましだとおもいます(こんなくだらない番組やるんだったら、まだニュースのほうが面白い)。

5107次 一人用高包  477元なり 1月3日 5107次 特等軟座 1月3日


 列車は普快ですが、ほぼ各駅停車です。が時刻表を見ると4月よりも遅くなっています。途中で線路工事や架線工事(杭州から株州までは来年あたり電化されます)があるため途中駅に着く前幾度と無く緊急停車しました。 途中駅からでも乗客は多く、硬座はあっという間に満席になりました。だから服務員の中には無座の乗客が勝手に特等軟座に入ってこないよう、車両の端で暫らく待機している者もいました (走行中、硬座車両と特等車両の間の扉の施錠は行ったりそのままのときがありました)。列車は途中4つの駅を停車し、のんびり走行していました。ずうずしい乗客(1等や2等乗客)が勝手に特等軟座に来たりしていましたが、みな服務員に撃退されていました。

 杭州を過ぎるともう山が目の前に迫ってきます。トンネルこそありませんが、四方を山に囲まれます。南方ですので、上海よりも暖かく感じました。列車に餐車は無く、お昼前に弁当の車内販売が行われますが、途中駅から専門の弁当販売員が乗車して販売を行います。
 金華西駅手前の義烏駅で、無座のおやじがドサクサに紛れこんで、硬座から特等軟座に入って暫らくくつろいでいましたが、不審に思った服務員が切符拝見後オヤジと口論し(親父の言い分は硬座が満席だからこっちに来た、少しぐらいいいじゃないか!服務員の言い分はここの乗客はお金を払ってここにいるんだから、金が無いなら出て行け!と聞いていて面白かった) オヤジを摘み出していました。列車は12時過ぎに金華西駅に到着しました。ここから機関車切り替えで、車両の最尾側に、金温線カラーを施したDF4東風専用機が連結されます。服務員も金華西から全員交代で別の服務員が乗り込んできました。

行列の出来る店、彩豊小吃 1月3日  金温列車は北京や上海で見かけないほどサービスに徹した列車です。地方鉄道ですがバス会社との競合もあり、それに対抗するために他の鉄路分局では行えない豪華車両投入も可能なわけです。 また痒いところに手が届くサービスとでもいいましょうか、とにかく後付の備品が多く、創意工夫なら他の中国鉄路に勝っています。杭州、温州共に場所があまりにも遠いですが、乗り鉄をするだけなら価値はあります。 帰りは金華西だと途中乗車ですので無座の可能性が高く、高速バス(63元)で杭州に戻ることをお勧めします。

この日の後日談

 金華西駅前は杭州東駅と同様寂れた場所でした。市内へ向かうバスはあるものの、地場産業無いんじゃない?と感じるくらい駅前で何も目的の無い人たちがうろうろしていました。 杭州へ戻るバス「浙江快客」は駅を出て右手に5分ほど歩くとあります。バスターミナルの前では大勢の女性が靴磨きでお客の獲得合戦を行っていました。
 杭州までの豪華バスは全て豪華バス扱いで片道63元。杭州駅から南にある汽車南駅(秋涛路)に到着します。発車時間は1時間に2本で、「杭州1張!」と言ったら、12:40発のバスになりました。 このバス大きくてしかもトイレ付なのがいいのですが、ところどころ車内の汚れが目立っており、間違って座った席では収納式のテーブルに噛んだ後のガムがこびりついていました。 これを見ただけで嫌な気分になります。メンテの悪さが豪華バスの名前を傷つけています。杭州まで2時間半。

 その間車内ではVCDを2本放映していました。一本目は「賊公子」(香港:車泥棒)でアメリカ映画の「60セカンズ」のパクッた内容ですが、最後は実は警察官だった部下一人を除いて 全員銃撃戦で死亡ととんでもない終わり方をしている映画でした。もう一つは「兄弟」でこちらは日本でも公開した映画です(こちらを先に放映してほしかった)。舞台は租界時代の上海ですが、「上海影視楽園」という映画村で撮影されたものです。 面白かったのですが、放映の途中で汽車南駅に到着してしまったので、最後まで観れませんでした。

ここからバスに乗って杭州名物西湖にいきました。蘇堤まで行きましたが、帰りのバス2元が無くて、1元バスが来るまで寒い湖のほとりで待っていました。杭州市内に戻るわけですが、バス停を1個あとで降りてしまい、ここから 中心まで戻るのに15分歩きました。夕食は昨日と同じく「彩豊小吃」で食事を摂りましたが今回は2階の席でここがものすごく混んでいます。席の奪い合いが凄く、みな誰かが食べ終わるのを待ってどいたらすぐ座るという状況でした。 でもおいしいからこういった常に満席も起きるのですが。帰りは頭痛のため、夜市見物を行わずに、杭州駅からバスに乗って戻りました。

杭州名物 西湖 1月3日 杭州名物  西湖 1月3日
 
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