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T8次26時間耐久乗車  5月7日(土)〜8日(日)

6:00予想はしていたが、やはり昨日の食べた四川料理が当たった。
8:30観華青年旅舎をチェックアウト。タクシーで成都駅へ。
9:00成都駅に到着。
9:20もう改札が行なわれる。

 成都駅発の列車は本数は少ないが、快速や普快クラスで長距離列車が多いです。北京西(3本)や上海(4本)、昆明(3本)はともかく、成都ー烏西(53時間)、成都ー呼和浩特(40時間)、成都ー瀋陽北(43時間)、成都ー格爾木(40時間)、成都ー寧波(51時間)など「乗車は勘弁してください」と言いたくなる40時間〜50時間越えの列車が多いのは、この地域がかなり内陸部であることを物語っている。烏魯木斉や敦煌などの西域を除く内陸部の都市は、北から見ると成都よりも昆明のほうが遠いのだが、南からみれば昆明は24時間ベースで到達できるしベトナムからも近いので実際は遠くはない。したがって今のところはトータル的に見て成都は「中国の一番奥地」ということを認識しておいた方がいいです。

T8次北京西行き特快列車T8次北京西行き特快列車

 一番奥地ということはそれだけ切符の入手競争も烈しく、成都発の寝台は発売当日に真っ先に買わないと、かなり厳しいと思います。それを証拠に成都での切符予約(ネット)は21日前から開始するし、駅での切符販売は10日前から開始しますが、混む時期は旅行会社の団体予約に押さえられてしまいますので、自力ではきついです。どっちみち成都から列車移動の場合、成都に着く前にあらかじめ予約しておく事が懸命です。
  早い時間に改札を終えたので、ホームを移動し停車中の列車を撮影。先に烏西行きが発車するが、この地名は烏魯木斉より先の駅名なので夏はかなり辛そう。車両が空調付きなのが何よりの救いだけど。
 成都付近の機関車はすべてSS3Bが担当します。重慶〜成都〜西安〜貴陽〜昆明〜南寧の山岳区間は既に電化されていてます。まずは複線化、そして列車がスピードを落とさないようになるべく直線化にすればジョジョなスピードアップは可能だと思います(大幅は無理)。

1012次成都ー烏西行き普快1012次成都ー烏西行き普快

 10:00にT8次は発車します。成都から北京までは2050キロ未満なので京広線ベースで考えれば20時間がいいところですが、26時間かかってしまいます。それでもだいぶ速くなったほうで、10年前の時刻表だと7/8次(Tは無い)は36時間かかっていました。夜23時に北京を発車して翌々日の朝に成都に着くダイヤでした。あっ、現在の北京西ー成都間の普快1363/4次の運行がこれに似ていますね。
 T8次の列車名は四川の別称をそのままとってつけた感じで、「天府之星号」です。居場所はもちろん軟臥ですが今回は上段で、まあ下段とは違いテキトーな奴等に席を占拠されなくて済むので余計な神経を使う必要がありません。だからする事がなければ寝るだけです(また太る・・・)。

 さて写真を撮りに行く前、荷物を置きに軟臥に行きましたが、軟臥を見てびっくり。もう布団がセットしてある・・・。普通の列車だとそれぞれ枕とシーツが上段に置いてあり、後は適当に自分たちでやってな感じですが、T8次は始めからベッドメーキングが施されています。ただピシッとやってあるので、あとで布団に入るときは面倒くさいですが。いきなりこんなサービスを見せ付けられたらこの列車に期待せずにはいられません。そいうえば各車両にTVが設置されていますが、コレはのちのち紹介します。

軟臥に搭載されているテレビ食堂車の冷ケース、この日はビールが売れていた

 車両はRW25Kで長春製。どうも長春製は四方製と比べると親切感がかなり劣るので出来れば乗りたくないのですが、車両を選べる列車はそんなに無いので諦めるしかありません。扉はプラグドア(中国名「塞拉門」)で開閉の際、「プシュ〜〜ピーピーピー」と音がします。軟臥自体には電源はありませんが通路に3穴タイプのやつがあります。

 発車直後は朝早く起きたのでベットに登り、お昼まで寝る。これで成都を離れるのだが、寂しくは全くなかった。成都の天気は相変わらず曇っていて蒸し暑い。クーラーは効いているけど直に風が当たるのでほっとくと風邪を確実に引くので、風方向を調節できればやったほうがいいです。お昼は行きに乗車したK117次と同じ套餐で15元(通常のメニューは高いです)。こちらも量の増減を指定できるし、頼めば出前も行なってくれるなかなか気の利いている列車だ。

 食堂車にフラフラっと行く。所々改造されており、Z列車食堂には及ばないがこぎれいで実力はZ列車よりありそう。厨房のところに大きい冷ケースがドーーンとおいてあり、ビールやドリンクなどの飲料関連が充実していました。また物品販売のところでは電子レンジが置かれていた。こんな食堂車今まで見た事が無い!!というくらいしっかりしています。T8次食堂車で働く人は普通の列車よりも多そうでしたが、彼らは頻繁に車内販売に出かけるので(しょっちゅう来ます)暇そうな人はあまり見かけませんでした。しいて働いていない人は「乗警」ぐらいですか(大飯食いの無能)。

 トイレもこちらもK117次と同じく紙が常時補充されていました。成都の列車のサービスといい、服務員の服務といい、従来の中国列車とは一線を画す感じがあります。そういえば食堂車に鉄道部からもらった色々な賞が飾ってあります。これはこの列車に対する勲章といっても過言ではありません。そういえば夜食堂車に行った際、テーブルに立てかけてあるメニューの裏にはこう書いてありました。

6:30〜9:30朝食、套餐か自助餐、粥・面
9:40〜11:00音楽喫茶
11:40〜14:00お昼、套餐か四川郷土料理
14:30〜17:00喫茶
17:30〜20:30夕食、套餐か四川郷土料理
21:00〜22:00夜食
22:00〜2:00サロン、雑談場

全天候提供撮影服務

・・・これをきちんと実行できているのが凄いです。従業員の方々はいつ休憩するのですか?(多分昼食や夕食の後、あとは夜食やサロンなどの時間帯でしょう)

 お昼過ぎ列車は江油を通過し宝成線独特の場所に入る。宝成線は上りの宝鶏方面にだけループが存在する。老坪バ(土編に覇)から厚バ間にあります。左に曲がった直後、上に交差する線路がありそのままトンネルに入るとずっとカーブを曲がる音が聞こえてきます。トンネルを出たら30秒ほど山の中を走り、その後先ほど走った線路の上を通過します。これは下りの線路では見られません。

ループの場所、先ほど下を通過したトンネルに入るT8次

 広元を通過したあたりから車内TVで映画の放映を開始します。TV映画ですが、これは「北京時速在線」という会社が列車を中心に衛星通信(GPRS)を利用した番組を流すという方式で、録画してある内容をそのまま流す高級軟臥やZ列車に設置されているTVとは性格が違います。娯楽番組を主体に放送を流し、停車駅が近づくと放送を中断し列車が走り始めればまた放送を再開するといった方法をとっています。この日に放映した映画は「十面埋伏」(日本名「ラバーズ」)です。

 広元を通過すると完全に山の中です。見える景色は側を流れる川とガードレールの無い国道、ちっぽけな集落ぐらいですか、あとは新緑満開の山々だけです。陽はまだ明るいですが、徐々に傾きつつありこの日の終わりを迎えつつあります。陽平関を通過すると完全に単線。速度もぐっと遅くなり、交互する列車待ちが発生します。大体の列車待ちは長い貨物列車ですので、通過するのにそれなりの時間を要します。完全に陽が落ちた後は、秦嶺駅に到着。20分ほど停車してののちゆっくり発車し、長いトンネルを通過します。動きは完全にスロー。昔の信越線で言う軽井沢と横川間の碓氷峠みたいな遅さです。秦嶺から宝鶏まで距離45キロですが、1時間近くかかりました。

 21:25に宝鶏駅に到着。停車時間が15分くらいあったので、真っ暗だけど先頭車両まで行って見る。おそらく秦嶺からだろうけど、永久連結式のSS4が先頭に連結されていたので、合計3両の機関車が列車を牽引していたことになる。昼間これを見たらさぞかし爽快だっただろう。機関車は3両まるまる切り離されて、SS7Eに連結される。この機関車はZ列車にも使われる機関車で、集中電源供給方式を取っているので、Z列車は電源車要らずなので電源車を外したぶん、1両分客車を連結できるので便利な機関車だ。ちなみに最近走り始めているオール新型(プラグドア)の25G車両で北京西ー信陽間の2089/90次の普快もSS7Eが牽引し電源車が連結されていません。

 22時過ぎに寝ました。理由はやる事がなかったからです。

翌8日。
朝6:30に起きる。T7/8次は鄭州に停車せずに、付近の貨物線を通過して京広線に合流するので何処の貨物線を利用するのか興味があったが、起きたら既に黄河を渡り終えていた・・・。

T8次に飾ってる数々の栄誉賞河北省の発電所?

 朝食案内の放送をやっていた。メニューは套餐か自助餐、粥・面で同じ10元。自助餐は別名バイキングだが、朝食なので種類は多くない。間違っても肉料理は期待してはいけませんが套餐か自助餐、粥・面と乗客に選択させることはいい事だと思います。自分は7時30分に食堂に行きましたが、それまで夜中の間ずっと食堂車を占拠していた無座の乗客は硬座方面に追いやられていました。今回も硬座では無座の乗客がいっぱいいて、とても暑苦しそうでした。自分はとてもじゃないけれど真似は出来ません。

8:55、映画「天下無賊」という青蔵線を利用した本格的列車映画です。YZ22や特等車両が映画で出てきます。

 そういえば軟臥通路の電源ですが、この車両の服務員はここでの充電をあまり快く思っていません。建前の言い訳は「列車の電気がなくなる」と愚にもつかないことを言ってきますが、実際は防犯上のことだとおもいます。込んでいる時期は無座の乗客がやはり軟臥に流れ込んでくるので、窃盗防止のために出来ればやって欲しくない感じでした。携帯の充電は完全に禁止だそうです。

北京西方向に分岐する五一の終日、人多すぎ

 列車は勢いよく北上していきます。河北の大地を蹴るような感じで平均速度が120キロくらい出てそうです。途中いくつも火力発電所みたいな建物を見ました。

 10:33に保定に停車。K21次桂林行きの快速とすれ違いますが、この快速硬座を加で3両増結していました。長距離硬座には乗りたくありませんが。保定駅で同じ部屋の人は全員降りて、後の北京西までは自分が独占で利用していました。このとき扉を開け放してくると無座の乗客が勝手に侵入してくるので、扉は開けたままにしないで速やかに乗務員を呼んでください。
11:50に北京西駅に到着。26時間長いたびが終わりました。この後からも長距離列車が後から陸続とやってきます。この風景は北京駅では見れません。北京西駅の特権のようなものです。

出口が込んでいるので、しばらくホームで撮影した後、出口に向かい387路バスに乗って大学まで戻りました。

 T8次は今まで乗車した列車の中で一番感じのいい列車でした。高級軟臥が連結されていた頃のT21次も良かったですが、こちらは車両自体がまだ新しかった頃なので当たり前といえばあたり前ですが、T7/8次は昔から走っていた列車ですので、このサービスを持続させている自体凄いものだと感じました。とにかく働く服務員たちにはやる気があります。これから先中国鉄道では列車の乗務員を削減する方針で来ていますが、もともとしっかりしている列車には急にサービスの質が落ちたなんてことは簡単にありえません。習慣になっているものはそのまま続きます。26時間という乗車時間がかなりネックですが、もし時間があって、成都まで行く用事があるのならば是非この列車を利用してやってください。中国列車のサービスの鑑は何たるかを実際に体験してみれば、T7/8次の良さが分かってきます。

今回のわがまま五一旅行はこれで終わり、次回は東北地方を荒らしまわる超乗り鉄法計画を発動させようか考えています。

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